幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」とは、幼児期の終わり(卒園まで)に育ってほしい資質や能力をまとめた指針となります。
ここで言う資質や能力とは下記の三点を示します。
「知識及び技能の基礎」
⇒遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて、何を感じたり、何に気付いたり、何が分かったり、何ができるようになるのか
「思考力、判断力、表現力等の基礎」
⇒遊びや生活の中で、気付いたこと、できるようになったことなども使いながら、どう考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするか
「学びに向かう力、人間性等」
⇒心情、意欲、態度が育つ中で、いかによりよい生活を営むか
これら卒園までに育まれてほしい子どもの姿を、10の具体的な視点から捉えて明確化したものが「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」なのですが、中身を見てみると動物園で育める要素が多く感じられます。以下、1つずつ紹介していきます。
①健康な心と体
⇒心と体を十分に使い、自分がやりたいことを思い切り楽しむ
動物園に遊びに行き、たくさん歩く。それだけでも価値があります。
公園の機能も併せ持つ動物園ですから、園内に遊具があればそこで遊ぶも良しです。動物を見るだけが動物園ではありません。
②自立心
⇒周囲の環境に関わり、さまざまな活動を楽しむ中で工夫していき、自信をもって物事に取り組めるようになる
好奇心や主体性などといった「非認知能力」を育てることに繋がる部分です。「見たい」「やりたい」という気持ちを尊重したいです。
③協同性
⇒直接人と触れ合い、豊かに愛された、面白かったなどの体験をたくさんする
ふれあいやイベントに参加することで、友達と多様な感情体験を味わえ、思いや考えを共有することができます。
④道徳性・規範意識の芽生え
⇒ルールを守る必要性を理解する。相手の立場になって気持ちを考えたり共感したりする
特に動物と同じ空間に入れる場では、動物の立場に立ってみて思いやりの心を育める機会がたくさんあります。
⑤社会生活との関わり
⇒保育の場だけでなく、子どもを取り巻く家庭や地域の環境にも目を向け、多様な人々と日常的に交流する
飼育係は地域のお兄さん・お姉さんのような存在になり得ます。あいさつを交わし、思いを伝え、気になることは質問できる相手です。
⑥思考力の芽生え
⇒物の性質や仕組みなどを感じ取り、気付き、考え、予想し、工夫し..多様な関わりを楽しむ
動物の観察を通して『大きい-小さい、長い-短い』など、物事をある基準で分けて思考する力を養えます。
⑦自然との関わり・生命尊重
⇒自然とふれあい、感動する体験を通し、身近な環境への関心が高まり、面白さに気付くようになる
子どもが動物や自然の美しさ・不思議さに触れて感動体験できる場として、動物園はその筆頭と言えます。
⑧数量・図形、標識や文字などへの関心・感覚
⇒遊びの中で、数量・図形、標識や文字に興味を持ち、豊かな感性と表現につなげる
園内の掲示物はイラストが多彩であったり、仕掛け式だったり、関心が持ちやすい物が多いです。
⑨言葉による伝え合い
⇒絵本や紙芝居などの物語に親しみ、経験したことを言葉で表現する。相手の話を聞き、言葉の伝えあいを楽しむ
思わず口に出したくなるような場面・体験にあふれている動物園。親子のコミュニケーションも自然と活性化されます。
⑩豊かな感性と表現
⇒さまざまな事象に触れ、感動したことを表現する。表現したい!という意欲を持つようになる
動物のウンチを見て「チョコみたい!」と感じることも立派な感性。感動体験は人形遊びやお絵描きにも今後反映されるかもしれませんね。
ここで紹介した場面はほんの一例に過ぎません。
1つ1つの姿にはもっと色々な意味合いが込められていますし、動物園で育める要素もまだまだあります。
しかし、いずれの要素も動物園に一度遊びに行けば育めるという訳ではありません。
経験を積み重ねることが肝要であり、日をかえ・季節をかえ・年をかえ、何度でも遊びに行くことをオススメします。
幸い、動物園の入園料は他のレジャー施設に比べれば格安で、年間パスポートを利用すればさらにお得に遊べます。小学生以下や未就学児は無料の園もあれば、誰でも無料の園もあります。
ベビーカー貸し出しなどのサービスや、体験できる内容は園によって違いがあります。
動物園情報のページではそのあたりを地域別にまとめてあるため、参考にしていただければと思います。
〈参考文献〉
厚生労働省(2018) . 『保育所保育指針解説』 . pdf
文部科学省(2016) . 『幼児教育部会における審議の取りまとめについて』 . pdf
汐見稔幸 編(2020) . 『ゆるゆる学ぶ 保育の質と指針・要領』 . 臨床育児・保育研究会 .